相続 岐阜|きずな支援センター

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贈与

相続税増税

本年1月1日より、ついに相続税が増税されました。

昨年までは相続財産が相続税の基礎控除の範囲内に収まり、申告が不要の見込みであった方も、改正により申告対象となる可能性があります。

また、これから資産が増えて相続税が発生する可能性がある方も、早めに相続税対策を考える必要があります。

 

相続の発生は不意にやってきます!

気持ちも落ち込み、忙しい中で相続手続・納税資金対策に追われるのは避けたいものです。

そのため、今のうちに資産を洗い出して事前準備をしていきましょう。

 

相続税対策の基本は暦年贈与です。

1年間に110万までの非課税枠をうまく利用して、「小さく、長く」贈与することで相続財産を減らす方法です。

贈与を行う上で注意する点がいくつかあります。 贈与が成立するためには両者の合意が条件です。

そのため、単に子ども名義の口座に振り込めばいいというわけではありません。

 

また、実際に親が通帳を管理しており、子どもが使える状態でなければ、親の資産とみなされる可能性があります。

合意は口頭でも有効ですが、贈与契約書を作成することにより贈与事実の強力な証明になります。

そして、暦年贈与を行っていく上で連年贈与とならないように注意することが必要です。

 

 

連年贈与とは、例えば毎年110万円ずつ20年にわたって贈与をした場合に、最初から2,200万円の定期金を贈与したとみなされるものです。

この連年贈与を防止するためには、毎年異なる金額、異なる日付で贈与契約書を作成した上で贈与を行うなどの注意が必要です。

短期間で多く贈与したい方は、暦年贈与を310万円以内で行うと効率的です。

310万円以内であれば、税率は10%となります。

そのため310万円で贈与した場合は20万円の贈与税で済む上、比較的早く、多くの金額を贈与することができます。

また、相続時精算課税制度を利用すると、暦年贈与の非課税枠がなくなります。

つまり、どちらかの方法を選択する必要があります。

 

相続税精算課税制度にも、贈与時の価値で相続でき、生前に大型贈与が行えるというメリットがあります。

相続税が多額の見込みでない方はこちらの制度を検討することをお勧めします。

税務調査に来るワケ④

税務調査の結果

相続人が知らなかった財産が出でくれば、もうけものです。

無いと思っていた財産が税務署の調査で判明し、教えてくれるからです。

増加した相続税に加えて延滞税や過少申告加算税はかかるものの、一般に発見された金額以上の税金がかかることはないからです。

手取りの相続財産が増加するため、税務署に感謝することになるでしょう。

 

相続人が自分のものと思っている財産他人名義の財産との判断は微妙な問題です。

 

過去贈与により財産が移転しており、すでに贈与税の時効が完成しているのか。

それとも単なる「名義借り」なのか。

税務署は被相続人のものであるとの方向へ持っていこうとするし、相続人は自分の財産であると主張する、この攻防が税務調査です。

 

先ごろ、国税不服審判所で次のような裁決が下されました。

 

被相続人から口頭で生前贈与された現金で購入された株式や預金について、相続人側で贈与された現金に見合った贈与税の申告がなかったことから、これらの資産は被相続人のものであるとされました。

民法によれば、書面によらない贈与はそれが完了するまでに自由に取り消すことができ、したがってこれらの資産は単に被相続人から管理・運用を任されていたものであるとしています。

相続人が贈与されたという現金に自己資金を加えて運用していましたが、これも原資割合に基づいて被相続人の財産と相続人固有の財産と按分すべきだとしています。

 

この問題に対する国税庁側の厳しい姿勢がうかがえます。

遺産分割のやり直しは贈与になる

相続人が二人以上の場合は、相続後に「遺産の分割」という手続きが必要になります。

 

ところで、遺産の分割時では公平であった財産の価額が、その後の状況の変化でアンバランスになることがあります。

たとえば長男が1億円の土地を相続し、二男は1億円の株式を取得するという分割をしたところ、その後土地が値上がりし、株式が暴落したというケースです。

その場合、長男と二男は、同額の相続税を納税しているわけですから、二男からみれば大きな損失です。

長男に対し、もう少し遺産をわけてほしいという要求が出ないとも限りません。

遺産分割が不公平であった、というのがその理由です。

 

ではこのような場合、遺産分割のやり直しはできるでしょうか。

 

結論からいえば、それは不可能です。

仮に再分割をし、長男から二男に財産を渡したとすれば、二男に贈与税が課税されることになります。

民法では、いったん有効に分割協議が成立すると、相続開始時にさかのぼってその効力が生じ、それぞれの遺産は各相続人の所有物として確定するとされています。

 

このような法的な効果から見ると、遺産分割のやり直しは、一度確定した所有権の移転となり、新たな財産の移動と見ざるを得ません。

つまり「相続の修正」ではなく、その段階での「贈与の発生」になるわけです。

もっとも、当初の遺産分割に重大な瑕疵がある場合は別です。

もちろん「後になって株が下がった」というのは理由になりません。

 

遺産の分割は十分に話し合い、慎重に行ってください。

みなし財産②

みなし贈与財産

贈与と経済的効果が同じ特定の利益についても同様に贈与税の対象となります。

「みなし贈与財産」には次のようなものがあります。

(1)委託者以外の者が受益者である信託受益権

(2)保険料または掛金を負担しない者が受け取った保険金、共済金、定期金給付契約に関する権利(相続税の対象となるものを除く)

(3)低額譲受利益

(4)債務免除による利益

(5)一定の事由により増加した同族会社の株式価額

郵便貯金は把握されずに済む!?③

貯金総額の限度額

ところで郵便局については、貯金総額に限度額が設けられているのはご存じでしょうか。

金額は1,000万円です。

 

したがってそれを超える金額を預けることはできません。

「地域の異なる郵便局であれば大丈夫なのではないか?」とお考えになる人もなかにはいらっしゃるかもしれませんが、たとえば、岐阜の郵便局に1,000万円、愛知の郵便局に1,000万円貯金したと考えて下さい。

両者はそれぞれの貯金事務センターに集められ、結局は共に、計算センターで集中管理されることとなってしまうのです。

つまり、このオンライン化が進んだため、以前であれば把握しきれなかった限度額以上の貯金所有者も、今では把握されるところとなってしまったのです。

その限度額を超える貯金を有する人に対しては、総務省から超過金額を払い戻してもらうための「払戻し通知」が届くことになり、現時点では、順次その調整が進められています。

 

このように、「郵便貯金が銀行貯金よりも見つかりにくい」とは言えなくなってしまいました。

郵便貯金は把握されずに済む!?②

お金の流れから把握できる

「見つかる、見つからない」という問題であれば、全く取引のない銀行に預金すれば、または、遠方の郵便局に貯金すれば、「もしかしたら見つからないのでは?」なんて考える人がいるかもしれません。

しかし、税務調査が入ったらそれはほとんど見つかってしまうでしょう。

なぜなら取引のない銀行であれ、遠方の郵便局であれ、そこに預けた現金は、必ずどこかにあった現金であり、その現金の流れ、すなわち出所から把握されてしまうからです。

 

たとえば、付近のA銀行に預けていた定期預金を解約して、全く取引のないB銀行の預金の存在自体はわかりませんが、A銀行を解約した定期預金はどこに消えたのか?が問題となります。

何か大きい買い物、たとえば車などを買ったという事実があれば納得してもらえますが、大きい買物をしていないのであれば「どこかに現金があるはずだ」と、躍起になって調査されてしまいます。

この結果、取引の有無に関わらずB銀行の存在が知られるところとなってしまうのです。

突然、何千万円ものお金を何の目的もなく使ってしまうなんて話は、通常の常識からは考えられません。

 

ですから、郵便局か銀行かとか、近くか遠くかは問題ではありません。

(続きは次回)

郵便貯金は把握されずに済む!?①

郵便局に預けているお金は申告しなくてもわからないってホント?

非常に危険なご意見です。

 

なぜなら、納税者のなかには、今でも「郵便貯金は見つからない」などという大いなる迷信(!?)を信じて疑わず、担当の税理士にすら、その存在を明かして下さらない方もいらっしゃるからです。

「郵便貯金」も「銀行預金」もいずれも相続財産に含まれるものです。

 

確かに30年前まではそういう噂もありました。

銀行等を統括する財務省と、郵便局を統括する総務省で、省庁内でも非常に折り合いが悪いことからなどと・・・。

しかし、今となっては昔のこと、現在では郵便貯金も銀行預金もあまり変わらなくなってきています。

なぜなら、「聖域」であるはずの郵便局にも、国税当局の「メス」が入り、国家公務員法上の「守秘義務」の限界について議論されるところとなったからです。

 

またこうした「守秘義務」の壁や、郵便局のチェックの甘さを逆手にとって、犯罪に利用されることも多かったため、国税当局側も「調査マニュアル」を作成し、正攻法で対決姿勢を強めています。

それでも、税務調査が入った場合の調査方法という点については、両者の間にはまだ若干の隔たりがあるようです。

(続きは次回)

家族名義の財産④

銀行調査ではどんなことを調べる?

相続が開始すると税務署は、金融機関に対して残高確認のために文書で問い合わせをするとともに、必要に応じて金融機関に出向いてマイクロフィルム(預金の動きがフィルム化されているもの)や伝票を調査していると思われます。

 

普通預金では電気、水道、ガス、電話などの公共料金を自動引落しているケースが多いのですが、貸金庫の使用料や証券会社の保護預かり料が引き落とされていることもあります。

家族も知らない第三者が居住しているマンションの管理費や公共料金が引き落とされていることもあります。

 

少額の端数のある入金も目の付け所です。

定額預金の利息や株式の配当など申告されていない財産発見の手がかりになります。

 

通帳だけでなく、印鑑も調査対象になります。

印鑑はまず空押しをし、次に朱肉を使って印影をとります。

空押しして印影がつくかどうかによって、最近使ったかどうか使用状況がわかります。

使われた形跡がなければ名義預金である可能性があるからです。

家族名義の財産③

税務署はどんなところから調べる?

大口資産家という言葉があります。

 

税務署ごとにその基準は違いますが固定資産税の額や保有している不動産の面積、不動産収入などを基にしてリストアップして資料を収集しています。

「資料箋」といわれるもので、過去の確定申告書や源泉徴収票をはじめ、登記関係書類、高級外車の購入、内縁関係にあった女性や元従業員からの「タレ込み情報」など、種々の資料が綴じられており、40cm以上の厚さになることもあります。

 

登記関係書類は資料箋の中でも重要なものの一つです。

 

税務署は所轄内にある法務局を法定的に、誰から誰に、いつ、どういう原因で不動産を移動したのか等、登記の動きを把握しています。

ここで把握された資料は、当事者の所轄の税務署に送付された各人別に保管されます。

これが登記に関する資料箋になります。

 

この資料だけでは、その不動産の価額や資金調達方法は把握できません。

税務署は不動産を購入した人宛に「お買いになった資産の買入れ価額などについてのお尋ね」を発送して、その資金の出所等を把握します。

不動産を売却した人についてはその記録が残りますから、譲渡所得の申告の有無の確認とともに相続のときにその資金使途の調査があり、説明を求められることになります。

売却時期と同時期に家族名義で多額の預金が作成されていれば、その原資は当然推測がつくわけです。

家族名義の財産②

家族名義の預金

相続税の税務調査の目的の一つに家族名義の預金、家族名義の株式の調査があります。

名義だけ家族の名前を借りて相続財産減らしを図る、「名義預金」「名義株」の有無を調べるためです。

 

税務署では、被相続人や相続人の家に出向いて調査する実地調査の前後に被相続人の住所地や勤務先周辺の銀行に照会・訪問して、被相続人名義の預金のみならず、家族名義の預金を調査します。

本人以外の家族名義の預金は、名義預金かどうかのチェックをし、本当に家族の預金かどうかの確認をします。

家族の収入、財産形成の経緯を調査し、例えば配偶者(奥様)の名義預金については、配偶者の過去の収入、実家における相続の有無等によって、本当に配偶者の預金であるかどうかの調査をします。

子供や孫名義の預金も、当然、それぞれの収入等から本人のものであるかどうかの確認をします。

また、税務署には協力的ではないといわれてきた郵便局も、最近は銀行とあまり差がないといわれています。

 

こうして事前に調査した資料を基に実地調査で質問するわけですから、大きなお金の動き、家族名義の有無など隠し通せるものではありません。

「第三者名義の預金」はないと言い切ったあとで、税務職員からそれを見せられたらもはや言いのがれはできなくなります。

(続きは次回)