相続 岐阜|きずな支援センター

当センターは、遺言・相続・事業承継を目的とした、弁護士事務所と税理士事務所の共同センターです。  

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協議

遺言書⑥

遺産分割争いを防止するための遺言書

遺言書を残されるならば「公正証書遺言」によることをお勧めします。

 

「自筆証書遺言」の場合は簡単に作成できますが、死亡後に必要な要件が揃っていなかったため無効になったり、内容に不満のある相続人がいると本人の自筆かどうかでもめたりして、かえって相続人の間が険悪になるケースもあります。

「公正証書遺言」ならば例え本人が謄本を紛失しても、公証人が公証証書を作成したことを証明してくれるため、公証役場で謄本を入手することができます。

 

遺言書が有効であれば、相続人の同意がなくても不動産や預貯金の名義変更ができます。

他の相続人に不満があっても、遺言書を盾に遺産分割協議の主導権を握ることができます。

もちろん、相続人同士の話し合いがつけば「遺言書」と異なる「遺産分割協議書」を作成することも可能です。

 

また、遺産の種類や数量を個別に記載する特定遺贈方法で遺産を分割することも重要です。

そして、遺言書通りにその内容を法的に実現してくれる遺言執行者を指定することが望ましいといえます。

 

毎年遺言書を書き直している方もいらっしゃいます。

一度、遺言書の作成にチャレンジして下さい。

遺言書②

遺言でなければできないこと

遺言でなければできない事は、大きく分けて3つあります。

具体的には、次のようなものです。


遺贈
寄付行為
信託

各相続人の相続分の指定
遺産分割の方法
遺産分割の禁止
(例えば相続後3年間は遺産分割をしてはいけないという指示)
遺言執行者の指定

未成年者の後見人指定
認知

 

(続きは次回)

遺産分割のやり直しは贈与になる

相続人が二人以上の場合は、相続後に「遺産の分割」という手続きが必要になります。

 

ところで、遺産の分割時では公平であった財産の価額が、その後の状況の変化でアンバランスになることがあります。

たとえば長男が1億円の土地を相続し、二男は1億円の株式を取得するという分割をしたところ、その後土地が値上がりし、株式が暴落したというケースです。

その場合、長男と二男は、同額の相続税を納税しているわけですから、二男からみれば大きな損失です。

長男に対し、もう少し遺産をわけてほしいという要求が出ないとも限りません。

遺産分割が不公平であった、というのがその理由です。

 

ではこのような場合、遺産分割のやり直しはできるでしょうか。

 

結論からいえば、それは不可能です。

仮に再分割をし、長男から二男に財産を渡したとすれば、二男に贈与税が課税されることになります。

民法では、いったん有効に分割協議が成立すると、相続開始時にさかのぼってその効力が生じ、それぞれの遺産は各相続人の所有物として確定するとされています。

 

このような法的な効果から見ると、遺産分割のやり直しは、一度確定した所有権の移転となり、新たな財産の移動と見ざるを得ません。

つまり「相続の修正」ではなく、その段階での「贈与の発生」になるわけです。

もっとも、当初の遺産分割に重大な瑕疵がある場合は別です。

もちろん「後になって株が下がった」というのは理由になりません。

 

遺産の分割は十分に話し合い、慎重に行ってください。

遺産分割協議書の作成をお勧めします⑤

遺産分割協議書作成時の注意点と遺言

「遺言書が残されていなかった」、「遺言は残されていたが、遺言書とは異なった分割をしたい」という場合には、遺産分割協議書を作成する必要が生じます。

ですから、やはり遺言書は最も効果的です。

 

遺言書さえあれば、相続人が納得せず争いになってもいったん相続登記をすることが可能です。

遺言書の詳細は後日説明いたしますが、相続後の争いを避けるために、遺留分を侵さないように、かつ“公正証書遺言”にすることをお勧めします。

 

ただし、遺産分割協議書を作成するうえで注意することは共有にしないことです。

共有で相続すると、将来的には遺産分割協議書を作成しなかったケースと同じ事になります。

 

つまり、売却したくても共有者全員の同意が必要となります。

 

いったん共有で相続してしまっていたら、「共有持分の分割」または「共有持分の変換」によって単独名義に変更して下さい。

どうしても共有にしかできない場合には、親(母)子での共有としておき、親(母)が死亡したときは、その共有している子が相続するというようにしておくべきです。

遺産分割協議書の作成をお勧めします④

問題になるのはこの場合!

遺産分割の話し合いはしたものの遺産分割協議書は作成しなかったケースや、遺産分割の話し合いはしなかったものの相続人の間で事実上遺産分割を認め合っているケース。

これらのケースが後々問題になります。

 

これらは、残された親子・兄弟の仲がよいケースです。

「遺産分割協議書を作成したい」と言えば・・・

 

「そんなものを作れば兄弟間に波風が立つ」

「○○物件は××が相続するのは承知しているのだからそれでいいじゃない。わざわざ他人行儀に書類を作る必要なんてない」

「将来、売却するときは判を押すからそれでいいじゃないか。今、判を押せということは、せっかく親が残してくれた財産を今売り払おうとしているじゃないか。親不孝者!」

 

・・・などと言われ、せっかくの仲のよい肉親関係にひびが入る可能性もあります。

 

しかし、仲のよい今こそ遺産分割協議書を作成しておくべきです。

 

仲がよいから作成できるのです。

未来永却仲がよいとは誰も保障してくれません。

ましてやあなたのお父さん、そしてあなたが、と次々に亡くなって当時のことを覚えている人がいなくなれば、結果としてその財産は相続人の共有ということになりかねません。

 

売却するに際しても相続人全員の同意が必要です。

相続が続いて相続人がどんどん増え、かつ、正月にさえも顔を合わさない関係になってしまえば、赤の他人同然です。

いや、財産があるが故に赤の他人以上です。

そこで争いが起こって後悔してもはじまりません。

 

早々に遺産分割協議書を作成のうえ、相続登記を済ませて下さい。

(続きは次回)

遺産分割協議書の作成をお勧めします③

相続登記の未了の場合

相続登記の未了の場合はどう考えればよいのでしょうか。

遺産分割協議書が作成されているが登記未了のケースは特に問題ありません。

二次相続、三次相続・・・と相続が続き、遺産分割協議書が作成されていたことが忘れられる前に、できるだけ早く相続登記を済ませておいて下さい。

 

相続争いの最中にある場合は、そもそも相続登記ができません。

いずれ調停や審判で決着がつきますから、それまで待つ以外方法はありません。

この場合は上記の通り、とりあえず相続税の支払いを心配してください。

(続きは次回)

遺産分割協議書の作成をお勧めします②

相続登記がなされないケース

亡くなった祖父や祖母の不動産が名義変更をされずに残っていることがあります。

 

遺産分割協議書を作成して相続申告書を提出したけれど名義変更の登記が済んでいないケース、相続人の間で遺産分割の話し合いはしたものの申告するほどの規模の財産ではなかったため、相続税申告書は作成せず、遺産分割協議も作成しなかったケース、相続人の間で遺産分割の話し合いがもたれなかったものの誰がどの物件を引き継ぐかを事実上認め合っているケース、相続人の間の話し合いがつかず遺産分割協議が未了のケース等々。

 

相続人の間で話し合いがつかず争っている場合は深刻です。

「小規模宅地等の評価減」や「配偶者の税額軽減」の制度を適用できず、いったんこれらの適用前で税額を計算して、法定相続分で相続したものとした相続税を納める必要があるため、資金的に問題が生じます。

 

また、農地等の納税猶予は、申告期限までに農業相続人が適用を受ける旨の相続税申告書を提出しておかなければなりません。

したがって、相続財産の全体について遺産分割が未了であっても、農地等についてだけは遺産分割協議書を作成しておく必要があります。

(続きは次回)

遺産分割協議書の作成をお勧めします①

未登記の不動産も課税される

家屋はあるが登記をしていないという例も少なくありません。

家屋を建てると「表示登記」を行った後、所有者を確定させる「保存登記」をするのが普通です。

但し、保存登記をするかしないかは所有者の自由ですから、現実には未登記建物も数多く存在しています。

こうした家屋ももちろん「財産」ですから、相続財産として課税されることになります。

 

確かに、その土地や建物を自ら所有し、そこに住んでいる限りは、名義など誰の名前でもかまいません。

その意味では、相続があったからといって、費用と手間をかけて、わざわざ相続登記などしなくてもよいのです。

ただし、そのままだと「これはオレの相続した不動産だ」という主張はできませんし、またその不動産を売却したり、担保に入れたりという処分はできません。

さらに、相続登記をしないまま、その人が死亡して次代への相続が発生したりすると、権利関係の整理が極めて面倒なことになってしまいます。

 

したがって相続後、遺産分割協議が成立したら、できるだけ速やかに相続登記を行っておくべきです。

(続きは次回)

遺産分割の方法②

代償分割

換価分割の短所をカバーできるのが代償分割です。

特定の相続人が遺産を相続する代わりにその者の固有の財産を他の相続人に支払う方法です。

遺産分割協議書のなかでこの方法を選択した場合には贈与税がかからず、支払いを金銭によった場合には譲渡税も課されません。

一時に全額を支払わなくてもかまいませんが、たとえ分割払いをするにしても、どの程度の支払いができるかどうかを慎重に見きわめなければなりません。

分割協議が成立した後に支払いできないとなると、かえってトラブルが起きてしまいます。

 

一般的な分割は現物分割で、一部代償分割を組み合わせる場合もあります。

なお、代償分割の時効は10年です。

遺産分割の方法①

遺産分割の方法には、現物分割、換価分割、代償分割の3つがあります。

 

(1)現物分割

現物分割とは「○○町○○所在の土地は、配偶者が相続する」「○○建設の株式一万株は、長女が相続する」というように、相続人一人ひとりの取得財産を具体的に決める方法です。

遺産を相続人各人別に分割して相続するものです。共有による相続も各人ごとの持分が決まっており、この範疇に含まれます。

 

(2)換価分割

換価分割とは、相続財産の全部を処分し、金銭に換えます。

お金であれば一円単位まで細分できますから、それを分け合えばお互いに満足する、というわけです。

但し、一つだけ注意があります。土地や建物を売却すると、相続人全員に「譲渡所得税と住民税」がかかってきますからその分は目減りしてしまいます。

(続きは次回)