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2017年9月30日(土) 戦略的相続対策セミナー
2017年10月14日(土) 相続税対策セミナー
浦田益之法律事務所 TEL:058-265-1708
税理士法人TACT高井法博会計事務所 TEL:058-233-3333
民法では、相続人が、相続財産を取得すべき、または相続債務を負担すべき割合を定めています。
いわゆる「法定相続分」です。
すべての分割が法定相続分を基礎としてなされていれば、恣意(しい)性が介入する余地はないのですが、「長男にすべての財産をあげてほしい」とか「末娘に・・・」など、それぞれの家庭環境や親子関係あるいは財産の状況によって一部または1人の人間に財産が片寄ってしまうことも現実としてあるのです。
したがってその一極集中を避けるため、相続人であれば少なくともこれだけの財産を取得することができるという最低限の保証として「遺留分」を認めています。
「遺留分」は、直系尊属であれば法定相続分の3分の1、その他であれば2分の1まで取得することができると定められていますが、兄弟姉妹については遺留分は認められていません。
遺留分を侵害しないようにすることも、円満な相続を行うための重要なポイントだといえるでしょう。
遺言書を残されるならば「公正証書遺言」によることをお勧めします。
「自筆証書遺言」の場合は簡単に作成できますが、死亡後に必要な要件が揃っていなかったため無効になったり、内容に不満のある相続人がいると本人の自筆かどうかでもめたりして、かえって相続人の間が険悪になるケースもあります。
「公正証書遺言」ならば例え本人が謄本を紛失しても、公証人が公証証書を作成したことを証明してくれるため、公証役場で謄本を入手することができます。
遺言書が有効であれば、相続人の同意がなくても不動産や預貯金の名義変更ができます。
他の相続人に不満があっても、遺言書を盾に遺産分割協議の主導権を握ることができます。
もちろん、相続人同士の話し合いがつけば「遺言書」と異なる「遺産分割協議書」を作成することも可能です。
また、遺産の種類や数量を個別に記載する特定遺贈方法で遺産を分割することも重要です。
そして、遺言書通りにその内容を法的に実現してくれる遺言執行者を指定することが望ましいといえます。
毎年遺言書を書き直している方もいらっしゃいます。
一度、遺言書の作成にチャレンジして下さい。
自筆証書遺言書は、文字どおり、遺言者が遺言書の全文を自筆で書き、押印して作るものです。
作成する場合の留意点を述べておくと、つぎのとおりです。
遺言書を封印するか否かは自由ですが、封印のある遺言書は家庭裁判所で開封されるので、なるべくそうしたほうがよいでしょう。
(続きは次回)
遺言者の財産ですから、遺言者が誰にどれだけ残すかは自由です。
「家業を継いでくれる長男には大目に相続させたい」
「同居していないため、いまだに借家住まいの次男には現金を残してやりたい」
「老後の面倒をみてくれる長女にはその分だけ多く財産を残してやりたい」
「内縁関係の女性との間に生まれた子を認知したい」
「福祉法人に寄付してめぐまれない人々のお役に立ちたい」
等々・・・
遺言者の財産をどう使うかを決めるのは遺言者です。
もちろん、「遺留分」には注意して下さい。
兄弟姉妹以外の法定相続人は最低限度の財産を相続する権利を持っており、この権利を「遺留分」といいます。
遺言の内容が遺留分を侵害していても無効になりませんが、相続人のうちの1人でも「遺留分」を主張したら(これを「遺留分の減殺請求」という)遺言書通りに遺産を分割することができなくなります。
(続きは次回)
遺言書には一般に次の3種類があります。
自ら記載し、保管するもので、手軽に作成でき、秘密が守られ、費用も不要です。
しかし、紛失、隠ぺい、偽造のおそれがあります。
自筆証書遺言として有効であるためには厳格な要件を具備しなければならず、相続開始後に家庭裁判所で「検認」という手続きを踏まなければなりません。
公証人に作成してもらうため手続きが煩雑で費用もかかります。
実印、印鑑証明書、戸籍謄本等の書類を揃え、証人2人以上の立会いを必要とします。
要件が厳格なだけに証拠能力は高く、遺言書原本は公証役場に保管されます。
一見、とっつきにくそうですが、公証役場で公証人が親切丁寧に教えてくれます。
公証役場は電話帳にも載っていますので、一度電話して話を聞いたうえで訪ねてみてはいかがでしょうか。
遺言書であることは公証人が公証してくれますが、それ以外の点については自筆証書遺言と同じです。
家庭裁判所での検認も必要です。
(続きは次回)
遺言でなければできない事は、大きく分けて3つあります。
具体的には、次のようなものです。
財 産 |
遺贈 |
---|---|
寄付行為 | |
信託 | |
相 続 |
各相続人の相続分の指定 |
遺産分割の方法 | |
遺産分割の禁止 (例えば相続後3年間は遺産分割をしてはいけないという指示) |
|
遺言執行者の指定 | |
身 分 |
未成年者の後見人指定 |
認知 |
(続きは次回)
遺言書は子孫に財産を残して亡くなられる方の最良の意思表示の方法です。
「お前にはこの家をやる」
「お前には預金をやる」
などと、各人ごとに口頭で伝えるのも遺言です。
が、亡くなられたあとで相続人の間で
「言った」「言わない」
「聞いた」「聞いていない」
の争いになり円満に遺産分割ができなかった事例は数多くあります。
このようなもめごとを回避するためには文書で残しておくことが有効です。
遺言を残すこと、しかも、その遺言を文書で残すことは相続対策のなかで最も重要な「遺産分割争い防止策」の中心柱となります。
これが『遺言書を作っておいた方が良い』と言われる理由です。
(続きは次回)
「遺言書が残されていなかった」、「遺言は残されていたが、遺言書とは異なった分割をしたい」という場合には、遺産分割協議書を作成する必要が生じます。
ですから、やはり遺言書は最も効果的です。
遺言書さえあれば、相続人が納得せず争いになってもいったん相続登記をすることが可能です。
遺言書の詳細は後日説明いたしますが、相続後の争いを避けるために、遺留分を侵さないように、かつ“公正証書遺言”にすることをお勧めします。
ただし、遺産分割協議書を作成するうえで注意することは共有にしないことです。
共有で相続すると、将来的には遺産分割協議書を作成しなかったケースと同じ事になります。
つまり、売却したくても共有者全員の同意が必要となります。
いったん共有で相続してしまっていたら、「共有持分の分割」または「共有持分の変換」によって単独名義に変更して下さい。
どうしても共有にしかできない場合には、親(母)子での共有としておき、親(母)が死亡したときは、その共有している子が相続するというようにしておくべきです。
亡くなった祖父や祖母の不動産が名義変更をされずに残っていることがあります。
遺産分割協議書を作成して相続申告書を提出したけれど名義変更の登記が済んでいないケース、相続人の間で遺産分割の話し合いはしたものの申告するほどの規模の財産ではなかったため、相続税申告書は作成せず、遺産分割協議も作成しなかったケース、相続人の間で遺産分割の話し合いがもたれなかったものの誰がどの物件を引き継ぐかを事実上認め合っているケース、相続人の間の話し合いがつかず遺産分割協議が未了のケース等々。
相続人の間で話し合いがつかず争っている場合は深刻です。
「小規模宅地等の評価減」や「配偶者の税額軽減」の制度を適用できず、いったんこれらの適用前で税額を計算して、法定相続分で相続したものとした相続税を納める必要があるため、資金的に問題が生じます。
また、農地等の納税猶予は、申告期限までに農業相続人が適用を受ける旨の相続税申告書を提出しておかなければなりません。
したがって、相続財産の全体について遺産分割が未了であっても、農地等についてだけは遺産分割協議書を作成しておく必要があります。
(続きは次回)