税務調査の結果
相続人が知らなかった財産が出でくれば、もうけものです。
無いと思っていた財産が税務署の調査で判明し、教えてくれるからです。
増加した相続税に加えて延滞税や過少申告加算税はかかるものの、一般に発見された金額以上の税金がかかることはないからです。
手取りの相続財産が増加するため、税務署に感謝することになるでしょう。
相続人が自分のものと思っている財産と他人名義の財産との判断は微妙な問題です。
過去贈与により財産が移転しており、すでに贈与税の時効が完成しているのか。
それとも単なる「名義借り」なのか。
税務署は被相続人のものであるとの方向へ持っていこうとするし、相続人は自分の財産であると主張する、この攻防が税務調査です。
先ごろ、国税不服審判所で次のような裁決が下されました。
被相続人から口頭で生前贈与された現金で購入された株式や預金について、相続人側で贈与された現金に見合った贈与税の申告がなかったことから、これらの資産は被相続人のものであるとされました。
民法によれば、書面によらない贈与はそれが完了するまでに自由に取り消すことができ、したがってこれらの資産は単に被相続人から管理・運用を任されていたものであるとしています。
相続人が贈与されたという現金に自己資金を加えて運用していましたが、これも原資割合に基づいて被相続人の財産と相続人固有の財産と按分すべきだとしています。
この問題に対する国税庁側の厳しい姿勢がうかがえます。