相続 岐阜|きずな支援センター

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10月

家族名義の財産③

税務署はどんなところから調べる?

大口資産家という言葉があります。

 

税務署ごとにその基準は違いますが固定資産税の額や保有している不動産の面積、不動産収入などを基にしてリストアップして資料を収集しています。

「資料箋」といわれるもので、過去の確定申告書や源泉徴収票をはじめ、登記関係書類、高級外車の購入、内縁関係にあった女性や元従業員からの「タレ込み情報」など、種々の資料が綴じられており、40cm以上の厚さになることもあります。

 

登記関係書類は資料箋の中でも重要なものの一つです。

 

税務署は所轄内にある法務局を法定的に、誰から誰に、いつ、どういう原因で不動産を移動したのか等、登記の動きを把握しています。

ここで把握された資料は、当事者の所轄の税務署に送付された各人別に保管されます。

これが登記に関する資料箋になります。

 

この資料だけでは、その不動産の価額や資金調達方法は把握できません。

税務署は不動産を購入した人宛に「お買いになった資産の買入れ価額などについてのお尋ね」を発送して、その資金の出所等を把握します。

不動産を売却した人についてはその記録が残りますから、譲渡所得の申告の有無の確認とともに相続のときにその資金使途の調査があり、説明を求められることになります。

売却時期と同時期に家族名義で多額の預金が作成されていれば、その原資は当然推測がつくわけです。

家族名義の財産②

家族名義の預金

相続税の税務調査の目的の一つに家族名義の預金、家族名義の株式の調査があります。

名義だけ家族の名前を借りて相続財産減らしを図る、「名義預金」「名義株」の有無を調べるためです。

 

税務署では、被相続人や相続人の家に出向いて調査する実地調査の前後に被相続人の住所地や勤務先周辺の銀行に照会・訪問して、被相続人名義の預金のみならず、家族名義の預金を調査します。

本人以外の家族名義の預金は、名義預金かどうかのチェックをし、本当に家族の預金かどうかの確認をします。

家族の収入、財産形成の経緯を調査し、例えば配偶者(奥様)の名義預金については、配偶者の過去の収入、実家における相続の有無等によって、本当に配偶者の預金であるかどうかの調査をします。

子供や孫名義の預金も、当然、それぞれの収入等から本人のものであるかどうかの確認をします。

また、税務署には協力的ではないといわれてきた郵便局も、最近は銀行とあまり差がないといわれています。

 

こうして事前に調査した資料を基に実地調査で質問するわけですから、大きなお金の動き、家族名義の有無など隠し通せるものではありません。

「第三者名義の預金」はないと言い切ったあとで、税務職員からそれを見せられたらもはや言いのがれはできなくなります。

(続きは次回)

家族名義の財産①

主人が配偶者名義で預金をしていた場合、主人が亡くなった際、この預金は誰のものとされるかご存知ですか?

税法には誰の名義であろうが、本当は誰の所有なのか、真の所有者に対して課税するという考え方として、「実質所有者課税の原則」といわれる言葉があります。

名義預金かどうかは、印鑑・通帳を誰が保管しているのか、入金の出所は誰からか、引き出したのは誰で何に使ったのか、など総合的に判断して本当の所有者の認定がなされます。

このケースは、ご主人が管理しているのであれば、ご主人の預金ということになるでしょう。

 

ご主人の相続にあたって、奥様名義の預金が問題になる例が実に多く見られます。

奥様の名義の預金があった場合、その財産は、本当に奥様のものなのか、ということです。

もちろん、過去にきちんと贈与をし、贈与税の申告もしていたとか、あるいは奥様自身に収入があって、それを貯えたものであるという「立証」ができれば問題はありません。

しかし、その証明ができないときは、本当の所有者はご主人であるとして、相続税の課税対象にされてしまいます。

つまり、ご主人が「名義借り」で預金をしていたと見られてしまうのです。

この事は奥様に限らず、子供や孫の場合も同じですし、また、預金のほか、株式の名義などでも同様の問題が生じます。

(続きは次回)

 したがって、これらの金融資産については、本当の所有者は誰かをきちんとしておかなければなりません。

預貯金はこうして把握される!!④

死亡日前の預金の引出し②

たとえば、預金の引き出しが1,000万円あったとします。

香典が300万円で病院の支払いが200万円、葬儀費用が400万円であったとすると・・・

 

現金    1,000万円

香典     300万円

病院代   △200万円

葬儀費用  △400万円

=============

差 引   700万円

 

よって、700万円は残金としてあるはずです。

これが手持ち現金になってきます。

申告する際には現金1,000万円から、債務の病院代200万円、葬儀費用400万円を差し引く形で申告することになります。

香典の300万円は相続財産にはならないため、間違っても、手持ち700万円を申告しないように。

 

相続直前の預金の引き出しは必ず、何に使ったかをチェックされます。

葬儀費用の確保は必要ではありますが、相続税の申告逃れはできないと考えるべきです。

預貯金はこうして把握される!!③

死亡日前の預金の引出し①

相続税は死亡日の本人の財産に課税されます。

したがって、死亡日前に本人の預金を引き出してしまえば消えてなくなり、課税されない、と考える人が多いのですが、これはまったく無意味なことです。

 

預金を引き出すだけでなく、「解約」してしまえばあとかたもなく消えてしまう、と考える人も多いのです。

しかし、これも無意味です。

 

預金の把握は、死亡日の当日だけを調査するのではありません。

本人はもちろん、家族名義の預金も最低5年くらい前から調べます。

 

まして死亡日直前に引き出したというのであれば、当然そのお金が、何に使われたのかをチェックします。

病院への支払い、葬儀の費用、または物品購入と、支払いが明確であれば問題にはなりません。

もちろん、葬儀費用は預金の引き出し、さらにはお香典の合計金額で、精算する場合もあります。

(続きは次回)

預貯金はこうして把握される!!②

何年前まで調べられるのか?

大口資産家の調査の場合は、相当以前からの古い資料も残っています。

時効の関係から7年ということもありますが、通常は5年前まではさかのぼって調べられます。

 

それでは7年前以前から奥様名義または家族名義の預金になっていれば、それは立派に贈与の時効が成立しているといえるかどうか、残念ながらそうもいきません。

問題は本当に贈与があったのかどうかという事実確認です。

たとえば確かに奥様名義の預金が10年前からあったとしても、出し入れの管理は、奥様ではなく本人がやっていたとすれば、実際は贈与されたのではなく、単なる名義が奥様になっていたということにすぎません。

子供や孫の名義の預金も当然のこと、「贈与された事実」があったどうかがポイントになるのです。

したがって、何年か前から名義が本人以外のものになっていたとしても、贈与の事実確認が重要で、贈与税の申告がされていたかどうかが重要なポイントになります。

(続きは次回)

預貯金はこうして把握される!!①

税務署は預金をどうやって把握するのか?

税務調査が実施される場合には、調査前に本人はもちろん家族全員の預金を調べてあると思います。

銀行では本人以外の家族名義であっても、顧客台帳として一括管理しています。

特に大口預金者はしっかり名寄せして管理しています。

 

定期預金が引き出された、土地の売却代金、株式の売却代金が引き出されたなど大口の預金の引出しは必ず確認しその行方が追われます。

この引き出されたお金が、他の銀行又は郵便局などの何らかの預金になっているか、または何かを購入しているかを確認します。

 

借入金の使用目的も問われる場合があります。

借入金で建物の建築、土地の購入、株式の購入、または貸付金になっているケースもあり、いずれにしても大口のお金が引き出されたときは、その行方を確認するのです。

(続きは次回)

相続税の申告書が届いたら?!④

相続税の申告書はどのような人に送られてくるのだろう?

相続税を絶対支払わなければならないであろう大口の資産家はもとより、相続税を支払う必要があるかどうかが不明な人、全く相続税を支払う必要がないと思われる人にまで、相続税の申告書が送られてくる場合があります。

税務署では、資産家といわれる人のファイルを集めています。

そのファイルは人によっては、約40cmくらいまで厚みがあるものまであります。

 

では、中身はというと、個人の確定申告書をはじめとして、財産・債務の明細書、各種お尋ね、名寄帳により、複数の不動産物件を所有している人に対しては、ほとんど、申告書が送られてきます。

したがって税金を納める必要がない人でも、不動産物件をいくつか持っている場合には申告書が送られてくるのです。

なお、「名寄せ」については、住んでいる近隣の市町村だけでなく、全国規模での把握が可能となっていると考えた方がよいでしょう。

相続税の申告書が届いたら?!③

税務署は人の死亡をどのようにして知るか?

人が死亡した場合には、同居の親族などが死亡を知った日から7日以内に、その死亡地の市町村長に対し「死亡届」を提出します。

その提出を受けた市町村長は、提出を受けた日の翌月末日までに「死亡届」を所轄内の税務署長に通知しなければならないという法律があります。

つまり、この法律によって税務署は「人の死亡」を確認することができるのです。

(続きは次回)

相続税の申告書が届いたら?!②

相続税の申告書が来たら必ず申告しなければいけないのか?

いいえ、すべての人が申告の必要があるわけではありません。

 

相続税の算定の基礎となる課税価格が基礎控除額以下であれば申告書を提出する必要はありません。

 

ただし『配偶者の税額軽減』『小規模宅地等の減額』などの規定を使って初めて基礎控除額以下となる場合であれば申告書は提出しなければなりません。

なぜなら、これらの規定は申告書を提出してはじめて適用することができる規定だからです。

 

逆に相続税の申告書は送られてこなかったけれど申告書を提出すべき場合もあります。

借地権などは登記の必要がないことから、税務署はその存在を把握していない場合があるからです。

したがって、申告書が送られてきたかどうかは別として居住用不動産のほかに複数の不動産を持っているような場合には、税理士に相談して申告の必要があるかどうかを確認された方がよいでしょう。

(続きは次回)