相続 岐阜|きずな支援センター

当センターは、遺言・相続・事業承継を目的とした、弁護士事務所と税理士事務所の共同センターです。  

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贈与税

郵便貯金は把握されずに済む!?③

貯金総額の限度額

ところで郵便局については、貯金総額に限度額が設けられているのはご存じでしょうか。

金額は1,000万円です。

 

したがってそれを超える金額を預けることはできません。

「地域の異なる郵便局であれば大丈夫なのではないか?」とお考えになる人もなかにはいらっしゃるかもしれませんが、たとえば、岐阜の郵便局に1,000万円、愛知の郵便局に1,000万円貯金したと考えて下さい。

両者はそれぞれの貯金事務センターに集められ、結局は共に、計算センターで集中管理されることとなってしまうのです。

つまり、このオンライン化が進んだため、以前であれば把握しきれなかった限度額以上の貯金所有者も、今では把握されるところとなってしまったのです。

その限度額を超える貯金を有する人に対しては、総務省から超過金額を払い戻してもらうための「払戻し通知」が届くことになり、現時点では、順次その調整が進められています。

 

このように、「郵便貯金が銀行貯金よりも見つかりにくい」とは言えなくなってしまいました。

郵便貯金は把握されずに済む!?②

お金の流れから把握できる

「見つかる、見つからない」という問題であれば、全く取引のない銀行に預金すれば、または、遠方の郵便局に貯金すれば、「もしかしたら見つからないのでは?」なんて考える人がいるかもしれません。

しかし、税務調査が入ったらそれはほとんど見つかってしまうでしょう。

なぜなら取引のない銀行であれ、遠方の郵便局であれ、そこに預けた現金は、必ずどこかにあった現金であり、その現金の流れ、すなわち出所から把握されてしまうからです。

 

たとえば、付近のA銀行に預けていた定期預金を解約して、全く取引のないB銀行の預金の存在自体はわかりませんが、A銀行を解約した定期預金はどこに消えたのか?が問題となります。

何か大きい買い物、たとえば車などを買ったという事実があれば納得してもらえますが、大きい買物をしていないのであれば「どこかに現金があるはずだ」と、躍起になって調査されてしまいます。

この結果、取引の有無に関わらずB銀行の存在が知られるところとなってしまうのです。

突然、何千万円ものお金を何の目的もなく使ってしまうなんて話は、通常の常識からは考えられません。

 

ですから、郵便局か銀行かとか、近くか遠くかは問題ではありません。

(続きは次回)

郵便貯金は把握されずに済む!?①

郵便局に預けているお金は申告しなくてもわからないってホント?

非常に危険なご意見です。

 

なぜなら、納税者のなかには、今でも「郵便貯金は見つからない」などという大いなる迷信(!?)を信じて疑わず、担当の税理士にすら、その存在を明かして下さらない方もいらっしゃるからです。

「郵便貯金」も「銀行預金」もいずれも相続財産に含まれるものです。

 

確かに30年前まではそういう噂もありました。

銀行等を統括する財務省と、郵便局を統括する総務省で、省庁内でも非常に折り合いが悪いことからなどと・・・。

しかし、今となっては昔のこと、現在では郵便貯金も銀行預金もあまり変わらなくなってきています。

なぜなら、「聖域」であるはずの郵便局にも、国税当局の「メス」が入り、国家公務員法上の「守秘義務」の限界について議論されるところとなったからです。

 

またこうした「守秘義務」の壁や、郵便局のチェックの甘さを逆手にとって、犯罪に利用されることも多かったため、国税当局側も「調査マニュアル」を作成し、正攻法で対決姿勢を強めています。

それでも、税務調査が入った場合の調査方法という点については、両者の間にはまだ若干の隔たりがあるようです。

(続きは次回)

家族名義の財産④

銀行調査ではどんなことを調べる?

相続が開始すると税務署は、金融機関に対して残高確認のために文書で問い合わせをするとともに、必要に応じて金融機関に出向いてマイクロフィルム(預金の動きがフィルム化されているもの)や伝票を調査していると思われます。

 

普通預金では電気、水道、ガス、電話などの公共料金を自動引落しているケースが多いのですが、貸金庫の使用料や証券会社の保護預かり料が引き落とされていることもあります。

家族も知らない第三者が居住しているマンションの管理費や公共料金が引き落とされていることもあります。

 

少額の端数のある入金も目の付け所です。

定額預金の利息や株式の配当など申告されていない財産発見の手がかりになります。

 

通帳だけでなく、印鑑も調査対象になります。

印鑑はまず空押しをし、次に朱肉を使って印影をとります。

空押しして印影がつくかどうかによって、最近使ったかどうか使用状況がわかります。

使われた形跡がなければ名義預金である可能性があるからです。

家族名義の財産③

税務署はどんなところから調べる?

大口資産家という言葉があります。

 

税務署ごとにその基準は違いますが固定資産税の額や保有している不動産の面積、不動産収入などを基にしてリストアップして資料を収集しています。

「資料箋」といわれるもので、過去の確定申告書や源泉徴収票をはじめ、登記関係書類、高級外車の購入、内縁関係にあった女性や元従業員からの「タレ込み情報」など、種々の資料が綴じられており、40cm以上の厚さになることもあります。

 

登記関係書類は資料箋の中でも重要なものの一つです。

 

税務署は所轄内にある法務局を法定的に、誰から誰に、いつ、どういう原因で不動産を移動したのか等、登記の動きを把握しています。

ここで把握された資料は、当事者の所轄の税務署に送付された各人別に保管されます。

これが登記に関する資料箋になります。

 

この資料だけでは、その不動産の価額や資金調達方法は把握できません。

税務署は不動産を購入した人宛に「お買いになった資産の買入れ価額などについてのお尋ね」を発送して、その資金の出所等を把握します。

不動産を売却した人についてはその記録が残りますから、譲渡所得の申告の有無の確認とともに相続のときにその資金使途の調査があり、説明を求められることになります。

売却時期と同時期に家族名義で多額の預金が作成されていれば、その原資は当然推測がつくわけです。

家族名義の財産②

家族名義の預金

相続税の税務調査の目的の一つに家族名義の預金、家族名義の株式の調査があります。

名義だけ家族の名前を借りて相続財産減らしを図る、「名義預金」「名義株」の有無を調べるためです。

 

税務署では、被相続人や相続人の家に出向いて調査する実地調査の前後に被相続人の住所地や勤務先周辺の銀行に照会・訪問して、被相続人名義の預金のみならず、家族名義の預金を調査します。

本人以外の家族名義の預金は、名義預金かどうかのチェックをし、本当に家族の預金かどうかの確認をします。

家族の収入、財産形成の経緯を調査し、例えば配偶者(奥様)の名義預金については、配偶者の過去の収入、実家における相続の有無等によって、本当に配偶者の預金であるかどうかの調査をします。

子供や孫名義の預金も、当然、それぞれの収入等から本人のものであるかどうかの確認をします。

また、税務署には協力的ではないといわれてきた郵便局も、最近は銀行とあまり差がないといわれています。

 

こうして事前に調査した資料を基に実地調査で質問するわけですから、大きなお金の動き、家族名義の有無など隠し通せるものではありません。

「第三者名義の預金」はないと言い切ったあとで、税務職員からそれを見せられたらもはや言いのがれはできなくなります。

(続きは次回)

家族名義の財産①

主人が配偶者名義で預金をしていた場合、主人が亡くなった際、この預金は誰のものとされるかご存知ですか?

税法には誰の名義であろうが、本当は誰の所有なのか、真の所有者に対して課税するという考え方として、「実質所有者課税の原則」といわれる言葉があります。

名義預金かどうかは、印鑑・通帳を誰が保管しているのか、入金の出所は誰からか、引き出したのは誰で何に使ったのか、など総合的に判断して本当の所有者の認定がなされます。

このケースは、ご主人が管理しているのであれば、ご主人の預金ということになるでしょう。

 

ご主人の相続にあたって、奥様名義の預金が問題になる例が実に多く見られます。

奥様の名義の預金があった場合、その財産は、本当に奥様のものなのか、ということです。

もちろん、過去にきちんと贈与をし、贈与税の申告もしていたとか、あるいは奥様自身に収入があって、それを貯えたものであるという「立証」ができれば問題はありません。

しかし、その証明ができないときは、本当の所有者はご主人であるとして、相続税の課税対象にされてしまいます。

つまり、ご主人が「名義借り」で預金をしていたと見られてしまうのです。

この事は奥様に限らず、子供や孫の場合も同じですし、また、預金のほか、株式の名義などでも同様の問題が生じます。

(続きは次回)

 したがって、これらの金融資産については、本当の所有者は誰かをきちんとしておかなければなりません。

預貯金はこうして把握される!!④

死亡日前の預金の引出し②

たとえば、預金の引き出しが1,000万円あったとします。

香典が300万円で病院の支払いが200万円、葬儀費用が400万円であったとすると・・・

 

現金    1,000万円

香典     300万円

病院代   △200万円

葬儀費用  △400万円

=============

差 引   700万円

 

よって、700万円は残金としてあるはずです。

これが手持ち現金になってきます。

申告する際には現金1,000万円から、債務の病院代200万円、葬儀費用400万円を差し引く形で申告することになります。

香典の300万円は相続財産にはならないため、間違っても、手持ち700万円を申告しないように。

 

相続直前の預金の引き出しは必ず、何に使ったかをチェックされます。

葬儀費用の確保は必要ではありますが、相続税の申告逃れはできないと考えるべきです。

預貯金はこうして把握される!!③

死亡日前の預金の引出し①

相続税は死亡日の本人の財産に課税されます。

したがって、死亡日前に本人の預金を引き出してしまえば消えてなくなり、課税されない、と考える人が多いのですが、これはまったく無意味なことです。

 

預金を引き出すだけでなく、「解約」してしまえばあとかたもなく消えてしまう、と考える人も多いのです。

しかし、これも無意味です。

 

預金の把握は、死亡日の当日だけを調査するのではありません。

本人はもちろん、家族名義の預金も最低5年くらい前から調べます。

 

まして死亡日直前に引き出したというのであれば、当然そのお金が、何に使われたのかをチェックします。

病院への支払い、葬儀の費用、または物品購入と、支払いが明確であれば問題にはなりません。

もちろん、葬儀費用は預金の引き出し、さらにはお香典の合計金額で、精算する場合もあります。

(続きは次回)

預貯金はこうして把握される!!②

何年前まで調べられるのか?

大口資産家の調査の場合は、相当以前からの古い資料も残っています。

時効の関係から7年ということもありますが、通常は5年前まではさかのぼって調べられます。

 

それでは7年前以前から奥様名義または家族名義の預金になっていれば、それは立派に贈与の時効が成立しているといえるかどうか、残念ながらそうもいきません。

問題は本当に贈与があったのかどうかという事実確認です。

たとえば確かに奥様名義の預金が10年前からあったとしても、出し入れの管理は、奥様ではなく本人がやっていたとすれば、実際は贈与されたのではなく、単なる名義が奥様になっていたということにすぎません。

子供や孫の名義の預金も当然のこと、「贈与された事実」があったどうかがポイントになるのです。

したがって、何年か前から名義が本人以外のものになっていたとしても、贈与の事実確認が重要で、贈与税の申告がされていたかどうかが重要なポイントになります。

(続きは次回)