相続 岐阜|きずな支援センター

当センターは、遺言・相続・事業承継を目的とした、弁護士事務所と税理士事務所の共同センターです。  

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相続

税務調査は一日だけじゃない!③

税務調査までの流れ

相続が発生すると、7日以内に相続人は市町村役場に死亡届を提出しなければなりません。

市町村役場では、その場で「火葬(埋葬)許可証」が交付されますが、市町村役場は受理日の翌日末日までに、その事実を税務署に通知しなければなりません。

 

役場から通知を受けた税務署は、予め収集しておいた「資料箋」ファイルを紐解きます。

おおよその資産内容をつかむと、相続税の申告書を相続人に送付するかどうかの検討をします。

 

  • 相続税が課税されそうな人に対しては「申告書」を送付します。
  • 課税されるかどうか境界線上にある場合には「相続のお尋ね」を送付します。
  • 課税されそうにない人に対しては何も送付しません。

 

相続税申告書は相続開始後10ヶ月以内に提出することが義務づけられています。

税務署では提出された申告書を7月頃で締め、8月までに申告内容を検討し、銀行・証券会社へ照会を行い実地調査をするかどうかの判断をします。

 

したがって、実地調査は普通、相続が起こった翌年または翌々年の9月から12月の間に行われます。

(続きは次回)

税務調査は一日だけじゃない!②

当日は何時に始まる?

実地調査は午前10時頃から始まり夕方の5時頃までには終わります。

 

まず雑談から入り、故人の経歴、趣味、病歴、最期の状況など詳しく聞きます。

申告漏れや資産の管理・運用状況をたくみに聞き出しているのです。

 

実地調査は1日、せいぜい2日で終わります。

 

実地調査の目的は事前調査での不明な点、疑問な点の確認・解明です。

故人について収集された「資料箋」から判断して申告漏れの可能性のある預金や有価証券の発見です。

グレーゾーンにあるものを誰のものとしてとらえるかの判断です。

家族名義預金なども調査対象です。

(続きは次回)

税務調査は一日だけじゃない!①

いつ?どこで?

実地調査では一般的に税務職員がいきなり訪問するということはありません。

 

調査の1~2週間前に、通常は、税理士を通じて連絡が入ります。

都合が悪ければ日を変更してもらうことも可能ですが、調査自体を断ることは事実上できません。

調査場所は被相続人が生活していた家がほとんどです。

相続開始後にはその家を売却してしまった場合には、妻、長男など相続人を代表する者の家で行われます。

 

調査官は普通1名ですが、新人教育の場合や大型案件の場合には2名以上でくることもあります。

(続きは次回)

税務調査に来るワケ④

税務調査の結果

相続人が知らなかった財産が出でくれば、もうけものです。

無いと思っていた財産が税務署の調査で判明し、教えてくれるからです。

増加した相続税に加えて延滞税や過少申告加算税はかかるものの、一般に発見された金額以上の税金がかかることはないからです。

手取りの相続財産が増加するため、税務署に感謝することになるでしょう。

 

相続人が自分のものと思っている財産他人名義の財産との判断は微妙な問題です。

 

過去贈与により財産が移転しており、すでに贈与税の時効が完成しているのか。

それとも単なる「名義借り」なのか。

税務署は被相続人のものであるとの方向へ持っていこうとするし、相続人は自分の財産であると主張する、この攻防が税務調査です。

 

先ごろ、国税不服審判所で次のような裁決が下されました。

 

被相続人から口頭で生前贈与された現金で購入された株式や預金について、相続人側で贈与された現金に見合った贈与税の申告がなかったことから、これらの資産は被相続人のものであるとされました。

民法によれば、書面によらない贈与はそれが完了するまでに自由に取り消すことができ、したがってこれらの資産は単に被相続人から管理・運用を任されていたものであるとしています。

相続人が贈与されたという現金に自己資金を加えて運用していましたが、これも原資割合に基づいて被相続人の財産と相続人固有の財産と按分すべきだとしています。

 

この問題に対する国税庁側の厳しい姿勢がうかがえます。

遺留分

民法では、相続人が、相続財産を取得すべき、または相続債務を負担すべき割合を定めています。

いわゆる「法定相続分」です。

 

すべての分割が法定相続分を基礎としてなされていれば、恣意(しい)性が介入する余地はないのですが、「長男にすべての財産をあげてほしい」とか「末娘に・・・」など、それぞれの家庭環境や親子関係あるいは財産の状況によって一部または1人の人間に財産が片寄ってしまうことも現実としてあるのです。

したがってその一極集中を避けるため、相続人であれば少なくともこれだけの財産を取得することができるという最低限の保証として「遺留分」を認めています。

 

「遺留分」は、直系尊属であれば法定相続分の3分の1、その他であれば2分の1まで取得することができると定められていますが、兄弟姉妹については遺留分は認められていません。

遺留分を侵害しないようにすることも、円満な相続を行うための重要なポイントだといえるでしょう。

遺言書⑥

遺産分割争いを防止するための遺言書

遺言書を残されるならば「公正証書遺言」によることをお勧めします。

 

「自筆証書遺言」の場合は簡単に作成できますが、死亡後に必要な要件が揃っていなかったため無効になったり、内容に不満のある相続人がいると本人の自筆かどうかでもめたりして、かえって相続人の間が険悪になるケースもあります。

「公正証書遺言」ならば例え本人が謄本を紛失しても、公証人が公証証書を作成したことを証明してくれるため、公証役場で謄本を入手することができます。

 

遺言書が有効であれば、相続人の同意がなくても不動産や預貯金の名義変更ができます。

他の相続人に不満があっても、遺言書を盾に遺産分割協議の主導権を握ることができます。

もちろん、相続人同士の話し合いがつけば「遺言書」と異なる「遺産分割協議書」を作成することも可能です。

 

また、遺産の種類や数量を個別に記載する特定遺贈方法で遺産を分割することも重要です。

そして、遺言書通りにその内容を法的に実現してくれる遺言執行者を指定することが望ましいといえます。

 

毎年遺言書を書き直している方もいらっしゃいます。

一度、遺言書の作成にチャレンジして下さい。

遺言書④

遺言書の注意点①

遺言者の財産ですから、遺言者が誰にどれだけ残すかは自由です。

 

「家業を継いでくれる長男には大目に相続させたい」

「同居していないため、いまだに借家住まいの次男には現金を残してやりたい」

「老後の面倒をみてくれる長女にはその分だけ多く財産を残してやりたい」

「内縁関係の女性との間に生まれた子を認知したい」

「福祉法人に寄付してめぐまれない人々のお役に立ちたい」

等々・・・

遺言者の財産をどう使うかを決めるのは遺言者です。

 

もちろん、「遺留分」には注意して下さい。

 

兄弟姉妹以外の法定相続人は最低限度の財産を相続する権利を持っており、この権利を「遺留分」といいます。

遺言の内容が遺留分を侵害していても無効になりませんが、相続人のうちの1人でも「遺留分」を主張したら(これを「遺留分の減殺請求」という)遺言書通りに遺産を分割することができなくなります。

(続きは次回)

遺言書②

遺言でなければできないこと

遺言でなければできない事は、大きく分けて3つあります。

具体的には、次のようなものです。


遺贈
寄付行為
信託

各相続人の相続分の指定
遺産分割の方法
遺産分割の禁止
(例えば相続後3年間は遺産分割をしてはいけないという指示)
遺言執行者の指定

未成年者の後見人指定
認知

 

(続きは次回)

遺言書①

『遺言書を作っておいた方が良い』と言われる理由

遺言書は子孫に財産を残して亡くなられる方の最良の意思表示の方法です。

 

「お前にはこの家をやる」

「お前には預金をやる」

などと、各人ごとに口頭で伝えるのも遺言です。

 

が、亡くなられたあとで相続人の間で

「言った」「言わない」

「聞いた」「聞いていない」

の争いになり円満に遺産分割ができなかった事例は数多くあります。

このようなもめごとを回避するためには文書で残しておくことが有効です。

 

遺言を残すこと、しかも、その遺言を文書で残すことは相続対策のなかで最も重要な「遺産分割争い防止策」の中心柱となります。

これが『遺言書を作っておいた方が良い』と言われる理由です。

(続きは次回)

遺産分割のやり直しは贈与になる

相続人が二人以上の場合は、相続後に「遺産の分割」という手続きが必要になります。

 

ところで、遺産の分割時では公平であった財産の価額が、その後の状況の変化でアンバランスになることがあります。

たとえば長男が1億円の土地を相続し、二男は1億円の株式を取得するという分割をしたところ、その後土地が値上がりし、株式が暴落したというケースです。

その場合、長男と二男は、同額の相続税を納税しているわけですから、二男からみれば大きな損失です。

長男に対し、もう少し遺産をわけてほしいという要求が出ないとも限りません。

遺産分割が不公平であった、というのがその理由です。

 

ではこのような場合、遺産分割のやり直しはできるでしょうか。

 

結論からいえば、それは不可能です。

仮に再分割をし、長男から二男に財産を渡したとすれば、二男に贈与税が課税されることになります。

民法では、いったん有効に分割協議が成立すると、相続開始時にさかのぼってその効力が生じ、それぞれの遺産は各相続人の所有物として確定するとされています。

 

このような法的な効果から見ると、遺産分割のやり直しは、一度確定した所有権の移転となり、新たな財産の移動と見ざるを得ません。

つまり「相続の修正」ではなく、その段階での「贈与の発生」になるわけです。

もっとも、当初の遺産分割に重大な瑕疵がある場合は別です。

もちろん「後になって株が下がった」というのは理由になりません。

 

遺産の分割は十分に話し合い、慎重に行ってください。